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モルドレッド、円卓の騎士。父アーサーを殺した裏切り者(?)

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出典:deviantart

今も世界中で愛されるアーサー王の物語。円卓の騎士にも多くのファンが付いています。

そんな中ひときわ異彩を放つのがモルドレッド。

父殺しの謀反者というネガティブなイメージを持ちながらも屈指の人気を誇ります。

そこで、叛逆の騎士モルドレッドに注目です。

非情な騎士にも意外な一面があるかも?

 

叛逆の騎士、モルドレッド

アーサー・ラッカム 作

モルドレッド(Mordred)はアーサー王伝説に登場する円卓の騎士の1人モードレッドモウドリッドとも呼ばれます

父であるアーサー王を殺した叛逆の騎士として有名です。

けれど、10世紀のウェールズの歴史を綴った『カンブリア年代記』に記されている初期の頃のモルドレッドの記述では、モルドレッドは勇猛で栄誉ある騎士。アーサーと共に戦死したことが記述されていますが、二人の関係やそのほかの詳細については語られていません。

 

モルドレッドが裏切り者として登場するのは12世紀ジェフリー・オブ・マンモスが記した偽史『ブリタニア列王史』と15世紀トーマス・マロニーの長編小説『アーサー王の死において。

今あるモルドレッドの物語はマロニーの「アーサー王の死」によって広く知られてゆきます。

けれど、その二つの物語の中でも、モルドレッドの詳細については設定が異なっています。

 

裏切り者になったモルドレッド

ヘンリー・J・フォード作

ブリタニア烈王史

モルドレッドが裏切り者として登場するのは、歴史家で聖職者のジェフリー・オブ・モンマスが1136年ごろに記述した偽史『ブリタニア列王史』において。

ここでのモドレドゥス(モルドレッド)は、スコットランド王ロットの息子の一人ガウェイン卿は実兄、アーサー叔父にあたります。

裏切り者ではありますが、騎士してのモルドレッドは勇敢な猛者として描かれています。

 

** あらすじ **

アーサー王はローマへ遠征。その間の守りを甥のモルドレッドに託します。

けれどその途中、モルドレッドが玉座を奪い、王妃グィネヴィアもモルドレッドの妻になったことを知らされます。

アーサーはブリテンに戻ろうとしますが、モルドレッドは反アーサー勢力を統合し、それを待ち構えます。

アーサー軍と反乱軍の戦闘は熾烈を極め、アーサー軍はそこでガウェイン卿を失います。

けれど戦況は、アーサー軍の勝利。モルドレッドは逃走。モードレッドが敗れたことを知ったグィネヴィアは国を離れ、尼僧になります。

アーサーさらにモルドレッドを追い、ついにカンブラ川(カムラン)で再び対戦。そしてついにモードレッドは死亡、けれどアーサーもまた致命傷を負うことになります。

深傷を負い、自らの最期を悟ったアーサーは、コンスタンティンに王冠を譲り、船に乗りアヴァロンに向かいます。

 

アーサー王の死

N・C・ワイエス 作

現在の父殺しのモルドレッドのイメージは15世紀のウェールズの騎士トマス・マロリーの著書「アーサー王の死」によって広く知られてゆきます。

その中でのモルドレッドはアーサー王とアーサーの異父姉モルゴースとの間に生まれた不義の子として登場しています。

 

** あらすじ **
▪️モルドレッドの誕生

モルドレッドの母モルゴースはアーサー王とは父違いの姉。オークニー(スコットランド諸島)国の王ロットと結婚。

ロット王がアーサー王と敵対し、モルゴースはアーサーを探るため宮殿に入り、兄弟とは知らないアーサーと不義の子モルドレッドをもうけます

モルドレッドは円卓の騎士ガウェイン卿、アグラヴェイン卿、ガレス卿とは父違いの兄弟にあたります。

 

ある日、マーリンは「アーサー王と王国を亡ぼす子が5月1日に生まれる」と予言。

そのため5月1日に領主と貴婦人の間に生まれた子供達が船に乗せられ命を落とします。モルドレッドも同船していますが、奇跡的に生還。

岸に打ち上げられたモルドレッドはそれを見つけた善良な男に育てられ、成人し円卓の騎士になります

 

▪️モルドレッドの陰謀

騎士の中でも頭角を表すモルドレッドはラーンスロットと王妃グィネヴィアの関係を暴きます

その時、密会の現場に踏み込んだ12人の騎士を殺し、ラーンスロットは逃走

アーサーとラーンスロッドは敵対関係となり、円卓の騎士の崩壊を招きます。

アーサーはラーンスロット討伐のためにフランスに遠征。その間の王国をモルドレッドに託します。

モルドレッドはその期に王位と王妃を奪います。

けれどグィネヴィアはモルドレッドの支配を逃れてロンドン塔に籠城。

モルドレッドの裏切りを知ったアーサーは急ぎ帰還。

激しい戦いの中、モルドレッドは兄ガウェインを倒します。

 

▪️最後の決戦

最終決戦の地、ガマランの戦いでは血みどろの戦いとなり、モルドレッド軍の中でモルドレッドはただ一人の生き残りとなり、アーサー軍もルーカン、ベディヴィアとアーサーの3人。モルドレッドとアーサーの一騎討ちとなります。

モルドレッドはアーサーの槍で胴体を突き抜かれ、串刺しのまま王に近づき、諸手の剣でアーサー王の側頭部を一撃、致命傷を負わせ、ついに絶命します。

 

最近は主役にもなる、人気のモルドレッド

グランブルーファンタジー」のモルドレッドとアーサーは孤児院で一緒に育った、強い絆で結ばれた関係。白竜騎士団「ひよこ版」で共に戦います。

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2021年1月にリリースされたRPG『King Arthur: Knight's Tale』でのモルドレッドは、アヴァロンで不死の体を手に入れたアーサーを倒すために主人公として蘇り、再びアーサーとの激しい戦いが繰り広げられるダークファンタジー。

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Fate」シリーズのモルドレッドは女性のキャラクターとして登場。アーサー王への想いも憎悪と同時に、アーサーに認められたいという気持ちも抱えた、シリーズ屈指の人気キャラクターとして愛されています。

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モルドレッド まとめ

出典:deviantart

モルドレッドの扱いが物語によってこれほど変わってしまっていることに驚きです。

父に仕えていながら義理の母と王位を我がものにしようと画策する、典型的な悪者のイメージがだいぶ崩れてしまったようにも思います。

なんにしろ、犯罪の数だけその背後には物語がある、良いか悪いかでは決められない問題だって存在する。

いつの間にか、非道な悪人にまでされてしまったモルドレッドには同情です。

 



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