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「モリガン」、破壊・殺戮・性の女神は何を導く?

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「据え膳食わぬは男の恥」なんてことわざがあります。据え膳を食わなかったせいで、時には大事件に発展するなんてこともあったり、なかったり。

今回は、据え膳を出したのに、断られてしまったことで大事故を起こした、ケルト神話の女神・モリガンをご紹介。

性と破壊・殺戮という、対照的なものをつかさどる女神にご注目!

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破壊・殺戮・性の女神モリガン

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モリガンは、ケルト神話に登場する戦い・性の女神です。普段は、若い美女か老婆の姿を使い分けて人々の前に現われたといわれています。ヴァハ、バスヴという妹がおり、この3女神を合わせてモリグナといいます。

戦いの女神ということで、軍神として扱われることもありますが、モリガンは戦いにおける破壊・殺戮といった負の面を司っており、死神としての側面の方が強いようです。

戦場では、2本の槍、鎧と灰色のマントを羽織り、2頭の赤い馬にひかれた戦車に乗って、兵士たちの前に現われます

モリガン自身が戦いに参加することはなく、カラスに変身し兵士たちを狂乱に陥れるような役割を果たすため、戦場でカラスが現われると両軍共に恐れられたといいます。

一方、性の女神の側面も持ち合わせていました。モリガンという名前は、「夢魔の女王」という意味で、彼女は男性を誘惑する蠱惑的な悪女でした。

しかし、自分が見初めた兵士には情け深く、彼らに勝利などの大きな恩恵をもたらします

例えば、ダーナ神族の王・ヌアザは、敵と戦う前にモリガンに誘惑され、彼女と一夜を共にしました。そのおかげで、戦場では超神的な力をふるい、ダーナ神族を勝利に導きます。

また、ヌアザの兄弟神で再生の神・ダグザもモリガンと交わり、戦いでの助力を約束されました。戦いは見事に勝利し、彼らが交わったウニウス川のほとりには「2人の寝床」と名付けられた岩があります

しかし、そんなモリガンを拒絶した男性もいます。ケルト神話の英雄、クー・フリンです。

コノートの女王・メイヴがクー・フリンが暮らすアルスターの牛を目的に侵攻してきた時、アルスターにはクー・フリンしか戦える者がいませんでした。

戦場で戦うクー・フリンを見初めたモリガンは、彼を誘惑しますが、「今は、女と関っているヒマはない」と拒絶します。

これに怒ったモリガンは、クー・フリンを恨み、ウナギ、狼、牛と次々に姿を変え、彼の戦いを邪魔します。しかし、足を切り落とされ、目をつぶされ、返り討ちにあってしまいます。傷ついたモリガンは、クー・フリンに手当てされ、一命を取りとめます

その後はクー・フリンの最期の戦いでは彼を援助し、死亡時にはカラスの姿で最期を看取りました

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戦いと性の両面がうまく反映されている、創作作品でのモリガン

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カプコンの対戦型格闘ゲーム「ヴァンパイア」シリーズでは、モリガンをモデルとするサキュバス、モリガン・アーンスランドが登場しています。退屈を誰よりも嫌う快楽主義者です。

スマホゲーム「剣と魔法のログレス」では、キャラクターの装備品のひとつとして妹のヴァハと共に登場。装備すると、モリガンは物理攻撃、ヴァハは魔法攻撃の値が上昇します。

 


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いちばん詳しい「ケルト神話」がわかる事典 ダーナの神々、妖精からアーサー王伝説まで [ 森瀬繚 ]

まとめ

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美女に誘惑され、戦場で恩恵にあずかれるともなれば、男性なら誘いを受けちゃいますよね。

けれど、モリガンの誘いを断ったクー・フリンが硬派であったかといえば、残念ながら、妻以外の女性とも関係を持っていた経緯もあるとか。

戦場の戦士を狂わせる恐ろしい女神様ではありますが、でも、最終的には傷を手当てされ、最期を看取ったモリガンに人情味も感じます。

 


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