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ゴブリン、意地悪な妖精。オーク・コボルト・ホブゴブリンとの違いは?

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出典:deviantart

ゴブリンとは、狡猾で、意地汚い悪の妖精。小柄なダークエルフのような様相、そんなイメージです。

けれど、その仲間にはオークやコボルト、ホブゴブリンなんていうのもいる。

そこまでゆくとそれぞれの違いもわからなくなります。

そこで改めてゴブリンに注目です

意外なゴブリンの一面や他の種族との違いも再認識。

 

 

ゴブリンとは

フランシスコ・ゴヤ作(1799年)

ゴブリン( goblin)は、ヨーロッパで伝えられる伝説の生物。

特にフランスやイギリスに伝わるイタズラ好きで意地悪な妖精、その総称としても用いられており、起源は14世紀初頭にさかのぼります。

ゴブリンの名はギリシャ語の

  • kobalos 「ゴロツキ・ならず者」、
  • kobaloi 「あくどい霊魂たち」、
  • Kobalos「子供」

などに由来します。

フランス語ではゴブラン、ドイツ語ではコボルト(コボルド)

 

広義、総称として用いられる「ゴブリン」には、レッドキャップ、ボギー、ボーグルなど、大地で生活する妖精が含まれます

けれどレプラコーンやピクシーなど、悪戯をする妖精の中で、ゴブリンは見た目の醜さや人間を死に追いやるような悪辣なものもおり他の妖精達はゴブリンと混同される事を嫌うといわれています。

 

ゴブリンの生態 

出典:deviantart

ゴブリンの多くは醜悪な外見に邪悪な性格

頭が大きく、腕は長い。その上、全身毛むくじゃら。

大人でも体長が身長が30~60センチと小柄で、大きいものでも120センチほどしかありあせん。

 

道に道標があれば必ず逆にして人を迷わせる、人に足をかけて転ばせる。

人を怖がらせたり、困らせたりすることを楽しむ。

時には疫病を流行らせたり、集団で人を襲ったり、死に至らしめるものもいますが、多くは意地の悪い子供のような性格

彼らは陽の光が苦手で、洞窟や鉱山、民家など、光の届かないところに棲み、行動するのは夜に限られています

 

炭鉱妖精ゴブリン

出典:deviantart

ゴブリンの語源のひとつにギリシア語の「cobaros,コバーロス)ごろつき」というものがありますが、古代ギリシア時代には「山のお化け」や「鉱山のお化け」という意味で用いられていました。

また、日光を嫌う土属性を持つ妖精でもあるため、鉱山妖精としても知られてゆきます。

これがドイツ語のコボルト(Kobold 鉱山妖精)、フランスのゴブラン(Gobelin)、英語のゴブリン(Goblin)に変化していったと伝えられます。

ゴブリンを描く作品の中には鉱山の中でツルハシやシャベルを持って働く姿も多く残されています。



家に住み着くゴブリン

出典:deviantart

ゴブリンはこっそりと人家に住み着くことがあります

家を選ぶ基準は「怠け者である」こと。勤勉で清潔な家庭には近づかないと伝えられています。

彼らは家に棲み憑くと、台所を引っ掻き回したり、家畜を驚かせ、牛の乳の出を悪くしたり、雌鶏が卵を産まなくしたり、果樹園の果実を落としたり、家主を呪ったり、悪夢を見せたりもします

笑い声だけでミルクを腐らせるという伝承もあります。

 

もし、牛乳の入った容器の中に木端があるのに気づいたら、急いで片付けなければなりません。

容器を片付けないでいると、ゴブリンは無頓着な家と認識して棲み憑いてしまいます。

けれどもしゴブリンに棲みつかれてしまったら、暫くは夜に亜麻の種を床一面に撒いておきましょう。

ゴブリンは種を全部拾おうとしますが夜明けまでには拾いきれず、これが毎夜続くと嫌気がさして去ってゆくと伝えられています。

 

悪役ゴブリンの真相は

出典:deviantart

本来ゴブリンは子供のような、イタズラ好きで意地悪な妖精、どちらかといえば愛嬌のある存在として認識されていました

けれど時代を経て、彼らは徐々に悪質な存在へと貶められてしまいます。

 

ゴブリンが悪い妖精として認識されるようになった原因には、キリスト教徒が民間伝承の妖精たちを排除するためゴルリンを悪魔として扱ったという背景がありました。

 

現在でも、ヨーロッパでは夜遅くまで起きている子供に、「早く寝ないと悪いゴブリンが来るぞ」と脅して躾ける習慣が残っています。

 

作家がイメージするゴブリン

出典:deviantart

ゴブリンは多くの作家たちにイメージ付けられています

 

🔸「イメージ・シンボル事典」著者アト・ド・ヴリースは

洞穴や木立に住み、幼い子を食べる、邪悪な、万聖節を象徴するもの

 

🔸英国の作家アンナ・フランクリンは

ピレネー山脈の割れ目から誕生。

ハロウィンでは「死者とともに現れ、妖精の食物を食べるよう人間を誘惑する」存在

 

🔸オカルト、超常現象を専門とする作家ローズマリ・エレン・グィリー

小さな、恐ろしい、悪戯好きか邪悪な精霊。

奇麗な子供がいて酒のたっぷりある家に住み着き、雑用を手伝い、子供を躾ける。悪戯が過ぎる時は、麻を撒くと掃除に飽きて逃げる。

 

🔸神話学者キャロル・ローズは

人の膝ほどの身長、灰色の髪の毛とあごひげを持つ。

子供好きで、よい子にはプレゼントをくれるが、台所や家中を掻き回す、馬を興奮させるなどのイタズラをする

 

以上のように述べています。

 

作品の中のゴブリン

J.マクドナルドのゴブリン

『お姫さまとゴブリンの物語』挿絵

スコットランドの聖職者で小説家ジョージ・マクドナルド著『王女とゴブリン』は、勇敢な王女とそれを助ける少年が国を襲うゴブリンと戦う、夢がいっぱいに詰まった児童小説です。

 

そこに登場するゴブリンは人間の歌と足を踏まれるのが苦手

ゴブリンは古い時代には地上に棲んでいて、姿も人間にそっくりでした。

けれど人間のルールに従うのを嫌い、地下に住まうようになります。

次第に彼らの姿は今のような醜悪な姿になってしまいます。

けれど彼らは国を築き、国王や王妃、身分制度まで定めていました

頭が異常に大きく、足の指がなく、柔らかい。そのため足を踏まれると逃げ惑います

また、美し歌が嫌い。彼らの声は醜いため美しい声で歌う歌を聞けば悲しくなって逃げてゆきます。

 

トルキーンも子供の頃この小説を愛読しており、彼の作品にも影響を与えているものと思われます。

 

R.R.トールキンのゴブリン

出典:deviantart

J.R.R.トルキーン『ホビット』には多数のゴブリンが登場しています。

けれど『ホビット』の作品の中で、ゴブリンとオークとの種別をはっきりと区別して用いていなかったといわれます。

 

🔸『ロード・オブ・ザ・リング』では

地下に住むオークがゴブリンとして扱われています。

ドワーフの地下王国モリアに巣食うオークがモリアゴブリン(Moria Goblin)として登場。地上のオークよりも小柄で目が大きく、壁や天井に這りついて移動しています。

 

🔸『ホビット』では」

霧ふり山脈にゴブリンの町を築いています。この作品においてはオークとは違う造形として登場しています

 

ゴブリンとの違いは?

ホブゴブリン

出典:deviantart

ゴブリンと同じく妖精の一種。

名がゴブリンとありますが、人間に対して友好的・献身的な性格をしており、ヨーロッパ各地では家の守護霊として知られています。

密かに家事を手伝う善良な妖精。外見的にはゴブリンに似たゴブリンより大型の生物です。

 

コボルト

出典:ウィキペディア

元はドイツ地域での民間伝承に登場する妖精の一種

醜い妖精、精霊。コーボルト、コボルドとも呼ばれます。コボルトはドイツ語で邪悪な精霊を意味し、英語ではしばしばゴブリンと訳されます。

コボルトは「悪戯をする妖精」を指し、「ゴブリン」とはっきりした違いがありません

これは両者ともギリシア語の「コバル」に由来する名前であるため、古代においてははっきりとは区別されてなかったとされています。

 

オーク

出典:ウィキペディア

J・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』に登場するゴブリンは邪悪で狡猾な種族です。

けれど「指輪物語」以降、ゴブリンはオークという名で登場しています。

作品に登場する間に類似したオークはトールキンの創作による架空の種族

それ以降、魔王や、強大な魔力を持った魔法使いが率いる悪の軍団として多くの作品に登場しています。

 

 

現代に活躍する(はびこる)ゴブリン達

転生したらスライムだった件」では種族名ゴブリナ、ゴブリンの進化形、かわいい少女として登場しています。

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ブランブルーファンタジー」でもかわいい少女ミニゴブとして登場。レジェンドガチャで「アンライトセプター」を入手すると仲間にできます。

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テレビアニメ「ゴブリンスレイヤー」では主人公が敵対するのが悪しきゴブリン達。迫力の戦闘シーンも圧巻です。

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ゴブリン まとめ

出典:deviantart

イタズラにも家畜に悪さをする程度のたわいないものから、人を殺してしまうまでの悪意に満ちたものまで、いろいろななものがあります。

それと同じようにゴブリンにもどこかに憎めない、からかってみたくなるような妖精から、絶対に近づかれたくないような悪霊のようなものまでいろいろにいるのでしょう。

 

どちらにしても、ぬいぐるみにするのは止めたほうがよさそう。。。

 

 



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