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アポロン 多くの神格を持つ太陽神、恋愛遍歴も豊富なイケメン?

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ノエルコワペル 作「 勝利によって戴冠したアポロ」

ギリシア神話の神々は、まるで人間のように恋をして嫉妬もし、時には残虐にもなる点が特徴的です。

そんなギリシア神話の中でも、ハープを奏でる優雅な姿が印象的なのが美男神を象徴する太陽神アポロン。

太陽だけでなく詩歌や医術、芸術など幅広い分野に秀でたイケメン

そんなアポロンの隠れた一面、気になる意外な恋愛事情についてもご紹介です

アポロン神話

ノエル・コイペル 作「アポロンとヘルメス」

兄弟

ゼウスには多くの子供がいます

主な神々では

月の女神アルテミス, 知恵・戦略を司るアテナ, 軍神アレス, 鍛治の神ヘーパイストス, 伝令神ヘルメス, 酩酊の神ディオニューソス, 出産の神エイレイテュイア, 青春の女神ヘーベー

など

 

子供

ピーテル・パウル・ルーベンス作『パエトンの墜落』

アポロンもまた名を残す神々の父。詳細は不明ですが

主な神としては

オルフェウス 母はムーサイのウラニア、父に授かった竪琴の名手。生涯一人の女性を愛しエリュシオンに渡ったエピソードは有名

アスクレピオス 母はラピタイ族の王フレギュアスの娘。死者を蘇らせたことで神の領域を冒したものとしてゼウスの怒りをかいます

パエトン オーケアノスの娘クリュメネーの子 父の戦車を借り天界に近づいたためゼウスに撃ち落とされます。

そのほか

・アリスタイオス ニンフのキレネとの子

・コリュバンテス ムーサのタレイアとの子

ヒュメナイオス 結婚の祝祭の神、ムーサイのウラニアとの子

・トロイロス アキレウスに殺害される、トロイヤ王プリアモスの后ヘカベの子

・預言者モプソス 預言者マントとの子

などがいます

 

出自(起源)

アポロンの起源についてはさまざまな説があります。

主なものとして、

もとは小アジアに起源をもつ植物の精霊神であったのが牧畜を司る神となった

北方の遊牧民に崇拝されていた神であった

上記の説が語られています

 

ギリシアでのアポロン崇拝は、紀元前8世紀にまで遡ることができるといわれます。

古代ギリシアでのアポロンは光と音楽の神であり、民間信仰においては退魔という役割を担っていたとされます。

アナトリア(小アジア)地方から習合されたといわれるアポロン信仰は「徴しと兆し」を悟り、日々の前兆を読み解く術を担う神であったというもの。

アポロンの誕生

ティタン神コイオスの娘レトゼウスの寵愛を受け、身籠ります

正妻ヘラレトの出産を阻み、世界に「レトの出産場所になる事を禁止する」と命じ、お産の女神エイレイテュイアを軟禁状態にします

そのためレトは妹・アステリアに助けを求めます。

アステリアはヘカテーの母、ゼウスに求婚され、ウズラに姿を変えて逃げようとしたためにオルテュギアという浮島に変えられてしまった女神。

オルテュギアはレトを受け入れますが、ヘラがお産の女神を軟禁状態にしているため9日間難産が続き、それでも出産できません

虹の女神イリスがエイレイテュイアを連れ出し、これを助けます。

レトはまずアルテミスを産み、アルテミスはその後直ぐにアポロンの出産を助けます。その為アルテミスはお産の守護女神として崇められることになります。

 

ゼウスはアポロンの誕生を知ると、アポロンにゼウスの意思を人間に伝える役目と、金の帽子・竪琴・白鳥の引く車を与えます。

そして聖地デルポイで信託所の主になる様に命じます

誕生後アポロンは法の女神テミスに養育され、数日で青年に成長、一時期を北方の民ヒュペルボレオイの国で暮らしていたとされています。

その後ゼウスの命に従いデルポイへ向かいます

そこでピトンとよばれる大蛇を退治。テミスの神託を己がものとします

 

容姿

アポロンはその身体だけでなく、着衣・持ち物全てからまばゆいばかりに美しく輝く光を放つ「光明の神

ギリシャ神で最も美しい男神

知・技・体」全てを兼ね備えた理想の神でもあり

腕力も強く、最古の叙事詩「イーリアス」ではアカイア勢の築いた頑強な城壁を素手で軽々と打ち砕いて崩壊させ、

ボクシングを創始した神としても知られます。

 

性格

バルトロメオ・マンフレディ作

容姿性格全てにおいて完璧なイケメンに思えるアポロンですが、一方では陰鬱な面も兼ね備えています

人間を地上に向かって放った矢から広がる疫病で虐殺したり

音楽の腕を競い、負けたサテュロスの一柱マルシュアスの全身の皮膚を剥いで殺す

などの所業も行っています

 

** マルシュアスとアポロン **

半人半馬のシレノス・マルシュアスは竪琴の名手、奢ったマルシュアスはアポロンに挑みます。

アポロンは「勝者が敗者を自由にできる」という条件で戦いを受諾

演奏が始まり、アポロンは竪琴を上下さかさまにし演奏を続けます。
アポロンはマルシュアスに同じように演奏するように告げ、マルシュアスにはそれができず敗戦。

アポロンはマルシュアスを松の木に吊り下げ、生きながら生皮を剥いでしまいます

 

** ミダス王とアポロン **

アポロンは牧神パンとも笛の音を競います。

この時フリュギアのミダス王がパンの勝利を宣言

怒ったアポロンはミダス王の耳を「ろばの耳」に変えてしまいます

これが童話の王様の耳はろばの耳

 

アポロンの神格

オディロン・ルドン作「アポロンの馬車」

アポロンは古くから牧畜と予言の神として崇められた、音楽・詩歌を司る神

法典・道徳・哲学を擁護し、光明の神(太陽神)としてフォイボス(光り輝く者)と呼ばれます。

ホメロスの「イーリアス」ではギリシア兵を倒した「遠矢の神」、疫病の矢を放ち、射抜いた敵を頓死させる神[であり、同時に病を払う治療神でもあります。

あらゆる知的文化的活動の守護神です

 

アポロンは多くの神格を一柱で司っています。

ただしそれは複数の神々の神格を吸収したことによるものとされます。

光明神の性格を持つのはBC5世紀ごろ。 ヘリオスと混同されて太陽神となります

音楽を司るのは、弟・ヘルメス神の楽器を譲ってもらったことによるもの。

予言の神の能力も権能もデルフォイの大蛇ピュトンを倒し、デルフォイの守護神になったことで得られたもの。

この能力は自らの力を人間に分け与えることもできますが、ただし、自身については全く予知できないよう

 

象徴

シャルル・メニエ作「アポローンとウーラニアー」

アポロンのシンボルは月桂樹と竪琴

月桂樹勝利」の象徴。アポロンは歌、詩、竪琴を競いあう場で常に勝利を勝ち取っていたためのもの

聖獣は 狼、蛇、鹿。

聖鳥は 白鳥、鴉、雄鶏、鷹

聖樹月桂樹の他に オリーブ、棕櫚、御柳

 



アポロンの恋愛遍歴

なかなか、ぜんぜん、報われないアポロンの想い

ルイ・ド・ブローニュ作

アポロンは詩歌を愛する吟遊詩人、これは古代ギリシアの青年の精神を象徴しているといわれています。

永遠の青年神という立場上、恋が実って妻帯者となることはイメージを損なうためか、アポロンの恋は悲恋に終わるのが常

また、アポロンには疫病神としての側面があり、残忍な性格を併せ持つため、アポロンに関わった女性もまた不幸な結末をたどります

 

エロースの仕返しで「月桂樹」になったダプネー

フランチェスコ・トレヴィザーニ作「アポロンとダフネ」

ダプネーはテッサリアの河神ペーネイオスの娘。大蛇ピュートーンを退治したアポロンがエロースの小さな弓を馬鹿にしたことが原因で起こります

エロースはアポロンには黄金の矢(愛情を芽生えさせる矢)を射て、ダプネーには鉛の矢(愛情を拒絶させる矢)を射ます

アポロンはダプネーを追い、ダプネーはアポロンから逃げようとしますが、追い詰められ父ペーネイオスに助けを求めます。父はダプネーを月桂樹に変えることで願いを叶えます。

失意のアポロンは「せめて私の聖樹になって欲しい」と懇願、ダプネーは枝を揺らしてうなずき、月桂樹の葉をアポローンの頭に落としました。

 

誰からも信じてもらえない「預言者」になったカッサンドラー

ジョージ・ロムニー作

カッサンドラー はトロイア王、プリアモスの娘。

カサンドラの美しさに魅了されたアポロンは求愛。そのプレゼントとして「百発百中の予言能力」をカッサンドラー に与えました。

けれどその予言力でカサンドラは「アポロンに弄ばれて捨てられる」運命を知り、アポロンの元から去ります

アポロンは捨てられたことを怒り「カッサンドラーの予言は誰も信じない」という呪いを掛けて憂さを晴らします。

カサンドラはトロイアの滅亡を予言しますが、それを信じるものはおらず、トロイアは滅亡します。

 

アポロンの子を身籠りながら不義密通、コローニス

ドメニコ・ザンピエーリ作「コロニスを殺害するアポロン」

アポロンはテッサリア領主の娘コローニスを見染め、恋愛関係となります。

けれどコローニスは他の男とも付き合っていて、そのことを知ったアポロンはコローニスを射殺。コローニスはアポロンの子を身ごもっている事を告げた後に亡くなります

アポロンは激しく後悔し、コローニスの子を救い出した後に、ケイローンにその子の養育を託しますその子は後にへびつかい座ともなる名医アスクレピオスとして成長します。

 

その他、ニンフのアカントスに恋をしたもののアカントスには拒まれ、執拗に言い寄り嫌がられて爪で顔を引っ掛かれ、逆ギレ、アザミの花に変えてしまった

また、人間の女性マルベッサに恋をして、イダスというライバルとマルベッサを取り合い、神であるのに負けてしまうという情けない思いをしたという神話も残されています。

 

ヒヤシンスの花になったアポロンの想われ人ヒュアキントス

ギリシャ神話には頻繁に登場する美少年。アポロンは美少年との恋愛についてはお互いに相思相愛の仲になれるもののなかなか成就はできません。

ニコラ=ルネ・ジョラン作

ヒュアキントスはペラ王ピーエロスと文芸の女神クレイオーとの間に生まれた美少年。アポロンと西風の神ゼピュロスはヒュアキントスの心を取り合うことになります。

けれど、ヒュアキントスの気持ちはアポロン傾きます。

ふたりが仲睦まじく円盤投げを楽しんでいた際、嫉妬に駆られたゼピュロスはヒュアキントスの額に円盤を命中させ、命を奪います。

流れるヒュアキントスの血から真っ赤な花が咲き、ヒュアキントスにちなんでヒアシンスと名付けられました

 

また、キュパリッソスという美少年もアポロンに愛されたひとり可愛がっていた大鹿を誤って殺してしまった罪の意識から逃れられず自身も死を選びます。悲しみに浸り、血も枯れて、干からびて最後には糸杉になってしまいます

 

 

キャラクターとしてのアポロン

アポロンー13

有名な神であるだけに、キャラクターとして題材にされることも多いようです。

サイボーグ009」には「ミュートス・サイボーグ編」に敵として登場。アポロン戦は島村ジョーの名言を生んだバトルとして有名です。

スクウェア・エニックスのコンピュータRPG『サガ2秘宝伝説GODDESS OF DESTINY』や、イナズマイレブンのライバル校にもギリシア神話のアポロン神を元ネタにしたキャラクターが登場します。

世界各国の神話の神々を元にした女性向け恋愛アドベンチャーゲーム「神々の悪戯」のメインキャラクターにもアポロン神はおり、このゲームではなんと、アポロン神と恋ができてしまいます。

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イナズマイレブン」シリーズでは世宇子中の選手阿保露光として登場。DFで2年生、背番号は2。勝つためなら冷酷なプレイも平気でやる性格。

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グランブルーファンタジー」ではLv100、属性は光。城砦都市アルビオン第20章に登場しています

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アポロン まとめ

太陽神としての名が有名ですが、詩歌や医術、芸術、弓矢や疫病など幅広い要素を司るうえに、「オリュンポス12神」のひとりでもあるアポロン神。

太陽神であるだけに神々しく、若くて冷淡なイケメン。そんな危険な存在でもバーチャルなら安心して恋もできちゃいます❤️

 

 



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