イーリスはギリシャ神話の虹の女神。
最近のゲームの中では絶世の美女神として活躍していますが、神話の中でのイーリスも、目立たないものの実は様々な場面で登場しています。
あの醜悪な怪物ハーピー (ハルピュイア)の姉、なのに絶世の美女。
しかも性格がよく、頭がキレる、なんとも、女性からしたら羨ましい、男性からしたら手に入れたい存在。そんなイーリスに注目です。
目次
イーリス（イリス）、伝令使を務める虹の女神
フランソワ・ルモワーヌ作
『フローラ、ヘーラー、イーリス』
イーリス（イリス Īris）はギリシャ神話の虹の女神。英語読みではアイリス。菖蒲の花アイリスはイーリスの聖花です。
地母神ガイアと原初の海神ポントスの子タウマース神と、タイターン神族の海神オケアノスとテテュスの子女神エレクトラとの間に生まれました。
ハルピュイア（ハーピー）姉妹の姉、西風の神ゼピュロスの妻となり、ふたりの間にはポートスが生まれています。
イーリスは虹を神格化した存在として、七色に輝く衣をまとい、大きな翼を持つ美しい女神。
天空を疾速で駆け、その飛翔の後に天地を結ぶ虹がかかります。
善良な性格の持ち主として知られ、地上を七色の輝きで照らし、人々の心に希望や安らぎを与える、穏やかなイメージを持つ女神様です。
イーリスはまた天地を結ぶ虹として、神々の使者の役目も担います。
女神ヘーラーの忠実な部下として、気難しい女王神の信頼も得ることのできる才気を持ちます。
イーリス、天と地を結ぶ虹の神格化
アントニオ・パロミーノ 作
イーリスは虹を神格化された存在。
空と海を司る神でもあり、空に雲を生むために必要な水を海水から獲て「虹」となって出現するのだともいわれます。
背中に翼を生やした女性の姿で描かれることも多く、疾速で天空を駆け、遥か遠くの距離を瞬く間に移動することが出来る能力を宿します。
ゼピュロスとの馴れ初め
ミシェル・コルネイユ作『イーリスとゼウス』
エロースはカオスから生まれた原初の神であるという説は有名ですが、それ以外にもその出生については幾つかの説があります。
そのひとつにある、エロースはゼウスとアフロディーテの子供であるとする説のお話です。
ゼウスはイーリスの人の良さを利用して、自分の浮気と、エロースの誕生を取り繕うため、「エロースはゼピュロスとイーリスの子である」という噂を広めます。
その噂に本妻ヘラはその怒りの矛先をイーリスに向けます。
この時、イーリスは弁解せず、ただ涙し、静かに微笑んだといいます。
これを見たヘラの怒りもとかれます。
この事が馴れ初めとなって、エロースはゼウスとアフロディーテの子供であるという説では、ゼピュロスとイーリスは後に本当に夫婦となります。
伝令神イーリス
出典：kyoto-inet
ヘルメスがゼウスの伝令使であるように、疾速で知られるイーリスはヘーラーの伝令使を務めます。
時にイーリスはヘルメスのようにカドュセウスを持った姿で描かれています。ヘルメスは翼のついた帽子とサンダルを身につけていますが、イリスは翼を持ちます。
そして、ヘーラーに仕える以外、イーリスはギリシャ神話の様々な場面で登場し、伝令使としての役目を果たしています。
◆デーメーテール
娘ペルセポネーが冥王ハデスにさらわれたことを嘆き、地上を彷徨ったとき、ゼウスはイーリスにデーメーテールにオリュムポスに戻るように説得に向かわせます。
◆アポローンの出産
作者不明の讃歌集『ホメーロス風讃歌』「アポローン讃歌」によると、ヘーラーの嫉妬から出産出来ずに苦しんでいたレートーのために、出産に立ち会っていた女神たちは出産の女神エイレイテュイアを連れて来るようにイーリスを天に遣わします。それによってレートーは無事アポローンを出産。
◆ケユクスとハルキュオネ
オウィディウスの『変身物語』によると、イーリスはへーラーの命を受け、眠りを司る神ヒュプノスの館に住まうヒュプノスと夜の神ニュクスの息子モルペウスを訪れます。そしてモルペウスにハルキュオネに夫ケユクスの死を伝えるようその命を託します
◆アルゴナウタイやトロイア戦争
中でもイーリスはしばしば英雄たちの前に現れ、神々の言葉を伝え、彼らを導いています。
◆黄泉の川の水（忘却の水）、ステュクスの水
ヘーシオドスの『神統記』によれば、神々の間で争いが起こったり、嘘で欺こうとする者に対し、ゼウスはイーリスを冥府に派遣し、地下を流れる大河ステュクスの水（黄泉の川の水（忘却の水））を汲んでこさせます。
神々がこの水を飲んで宣誓し、その宣誓に背くと、神々であっても１年間は仮死状態になり、その後、９年間はオリュムポス山から追放されるといいます。
イーリス 、現代でも虹の美女神
「少女とドラゴン幻獣契約クリフトラクト」では[教団の護衛]イーリスとして登場。クリコレガチャでしか獲得できない激レアユニットです。
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「千年戦争アイギス」では癒し手イーリス 。癒し手カミラの実妹、王子ランク10の到達ボーナスで入手できる回復力強化型のヒーラーとして登場しています。
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アプリゲーム「古の女神と宝石の射手」のイーリスはテイターン神族 の虹の神イーリス。爆速で世界中を飛び回り、お仕事をこなします。けれど、彼女が掴んだものはみんな虹色になってしまいます。
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イーリス（イリス） まとめ
ルネ＝アントワーヌ・ウアス作『イーリスに起されるモルペウス』
組織の中のリーダーはまず、カリスマ性が求められます。本当に頭がキレて行動力があるのはその側近たち。
イーリスはまさに、キレ者な、怖い存在の女神様なのかもしれません。
虹のように美しく周囲を和ませる存在であるだけに、またその怖さが増す、なんて思うののはひねくれた考え方でしょうか
