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立夏(りっか)の頃の行事と風習。衣替えの目安と収納法、全国「菖蒲」の名所は

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ゴールデンウイークが終わるこの時期、いよいよ夏の到来です。

いつの間にか過ぎてしまいがちな時期ではありますが、農家では田植えに忙しく、カエルが鳴くころでもあります。

都会に暮らす者にとってはそんな変化にも縁遠くなりがち。

季節にもどんどん疎くなるのかなぁ、っと思い知ります。

 

 

立夏

「立夏」は二十四節気の7番目、現在の定気法では太陽黄経が45度のとき。

春分夏至のちょうど中間。暦の上での夏の始まり、立秋の前日までが夏になります。

2024年の立夏は5月5日(日) および小満5月20日の前日まで

『暦便覧』には「夏の立つがゆへ也」と記されています。

「立」とは、新しい季節が始まるということの意味。

 

梅雨に入る前のこの時季は穏やかな晴天の日が続き、天候が安定する頃。新緑が眩い季節です。

 

**「5月(さつき)」の異称 **

この季節は田植えの季節です。

五月は別名「皐月(さつき)」ともいいます。これは田植えの時期であるところから来ています。

程よく育った稲の苗「早苗(さなえ)」を植える月であるところから早苗月(さなえづき)とも呼ばれ、これが省略されて、「さつき(皐月)」になったのだと伝えられています。

その他、この時期にちなんだ

  • 田草月(たぐさづき)
  • 菖蒲月(しょうぶづき)
  • 雨月(うげつ)

とも呼ばれます

** 常磐木落葉(ときわぎおちば、ときはぎおちば) **

この頃は秋の落葉と同じく、春の落葉の時期でもあります。

イチョウや楓などの落葉樹は秋の紅葉を終えて葉を落としますが、松、杉、樫、椎、樟などの常緑樹も立夏のこの頃には古い葉を落とし、眩い新緑が芽生えます

 

衣替え

梅雨に入る前、気候の安定したこの時期は冬服と夏服の入れ替え、衣替えを行うのに適しています。

** 「衣替え」の起源 **

衣替えの起源は古く、平安時代にまで遡ります。

当時の宮中では中国の風習に倣って、旧暦の4月と10月の初日に夏と冬の装いに変えると定められており、これを「更衣(こうい)」といいました

けれど宮中の女性の役職も「更衣」というところから、民間の間で「衣替え」というようになったといわれています。

江戸時代になると、幕府は年4回の衣替えでの出仕を定めています。

これが明治に入って、服装も洋服となり、役職や学生の制服も夏と冬の年2回の衣替えと変わってゆきます。

 

** 「衣替え」の目安 **

年2回の制服の衣替えとは違い、普段の装いの衣替えはやはり春・夏・秋・冬の年4回。

それぞれの季節に似合った装いがおしゃれの基本。

その目安は「最高気温」

  • 春服の装い → 最高気温が15°C~20°Cの時
  • 夏服の装い → 最高気温が23°C~
  • 秋服の装い → 最高気温が15°C~20°Cの時
  • 冬服の装い → 最高気温が13°C以下
** 上手な保管・収納法 **

シーズンオフになった衣装も上手に収納することで大切な衣装の傷みも少なく、手間も省けます。

収納する物の汚れは落とす

たたんで収納するものは ニット類などのハンガーにかけると伸びてしまう物など

その際、重いものを下に軽いものを上にする

ハンガーにかけるもの シャツやシルクなどのシワにないやすいものや、場所をとるコート類

 

立夏の頃の七十二候

初候(5月日〜9日頃)   蛙始鳴(かわず はじめて なく) : 蛙が鳴き始める

この時期のカエルの鳴き声は、夏のセミと同じく日本の風物詩のひとつ

次候(5月10日〜14日頃)  蚯蚓出(きゅういん いずる) : 蚯蚓(みみず)が地上に這出る頃

花壇や庭の手入れにも適したこの頃には、頻繁に目にします。

末候(5月14日〜19日頃) 竹笋生(ちくかん しょうず) : 筍が生えて来る頃

竹の子は春の旬の山菜としまず思い浮かぶ食材。日本料理には欠かせないアイテム

 

「二十四節気」とは

二十四節気は、一年を春・夏・秋・冬の季節に分け、それぞれをさらに6分割した24の期間に名前をつけたものです。現在でも季節の節目を示す言葉として使われています。

二十四節気の名称は、中国で考案された当時のものがほぼそのまま使われています。考案当時の文明の中心であった黄河の中・下流域の気候を反映しており、日本よりも寒冷で大陸的な気候のため、日本の気候とは多少ずれがあります。

太陽黄経が30の倍数であるもの(春分・穀雨など)を(中気)、そうでないもの(清明・立夏など)を(正節、節気)と言い、節気から次の節気の前日までの間を一ヶ月とする月の区切り方を節切り、その月を節月と言います。季語の分類も主として節切りで行われています。

夏至・冬至の二至、春分・秋分の二分を併せて二至二分といい、立春・立夏・立秋・立冬を四立二至二分四立を併せて八節と言います。二十四節気をさらに約5日づつの3つに分けた、七十二候という分類もあります。

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立夏の頃の行事

** 岐阜県 長良川の鵜飼 **

「鵜飼」とは篝火を付けた鵜舟で、鵜匠が10~12羽の鵜の手縄をさばき、鮎を捕る漁法。

岐阜県指定重要無形民俗文化財、2015年には日本遺産にも認定される日本を代表する文化遺産のひとつ。春の訪れを告げる古来よりの風物詩です

期間:5月11日〜10月15日

 

全国の「あやめ・菖蒲」の名所

静岡県 「加茂荘花鳥園」

「加茂荘花鳥園」(かもそうかちょうえん)は桃山時代から続く当地の豪農、大庄屋・加茂家の庄屋屋敷と、その敷地に開かれた動植物園。

江戸時代に建てられた庄屋屋敷の門前に咲き広がる花菖蒲には、約1haの園場に約600種50万本が古式豊かに咲き誇ります。

見頃:4月下旬〜6月下旬

 

千葉県「水郷佐原あやめパーク」

江戸時代、利根川水運の河港として栄えた佐原の「水郷佐原あやめパーク」では、水郷地帯ならではの風情ある町並み、400品種・150万本の花菖蒲が岸辺に咲き誇り、地上の遊歩道からの眺めと共に、今も船頭さんが操るサッパ舟からもその美しさを堪能できます。

見頃/5月下旬〜6月下旬

 

長崎県 「大村公園(玖島城跡)」

「日本の歴史公園百選」の地に選定される、大村藩の居城・玖島城の跡地に造られた大村公園には、九州最大規模の花菖蒲園に、171種類、約10万株およそ30万本もの花菖蒲が咲き誇ります。夜のライトアップは6月20日まで。

恒例の「花菖蒲まつり」では郷土芸能や「飾山囃子(おやまばやし)」など多彩なイベントが行われます

見頃:5月下旬〜6月中旬

 

立夏 まとめ

新緑も眩く、初夏の日差しが心地良いと思える季節、心身のリフレッシュも心掛けたいところ。

カエルの鳴き声や新緑、吹き抜ける風の息吹に意識を傾けたいものです。

 

 



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