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白露の頃の風習や主な行事。秋の表現、「中秋の名月」を愛でる

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初めて朝露が降りる白露のころ、吹く風にも秋の風情を感じられるようになります。

ようやく秋らしくなった夜、いつの間にか秋の虫達も鳴き始め、見上げる夜空の名月に、季節の移り変わりを実感します

 

 

「白露」

白露(はくろ)は二十四節気の15番目。

現在の定気法では太陽黄経が165度のとき。

2023年の白露は9月8日(金)および秋分(9月23日の前日)までの期間をいい、この日から仲秋になります

日本人にとっての「白」は雪、冬をイメージしますが、中国の陰陽五行では「白」は秋の色

秋の草花に朝露がおりることを意味しています。

日中は暑さが残るとはいうものの、本格的な秋の気配が感じられる頃です。

『暦便覧』でも「陰気やうやくかさなりて 露こごり白色(はくしき)となればなり」(「ようやく秋らしなって、朝露がおりて白く光っている」)と記されています。

 

秋の表現

多くの場合、秋の気候を初秋・中秋・晩秋と3つの期間に分けて表現します。

そして、旧暦では7月、8月、9月が「秋」の季節になります。

その

  • 初秋は立秋(8月7日頃)から白露の前日(9月6日頃)まで
  • 中秋は白露(9月7日頃)から寒露の前日(10月7日頃)まで
  • 晩秋は寒露(10月8日頃)から立冬の前日(11月6日頃)まで、

をいいます

中秋と仲秋の違いについては中秋は旧暦8月15日、仲秋は旧暦8月のことを指しています。

 

中秋の名月とは

白露から秋分にかけては一年で最も美しいといわれる「中秋の名月」が見られる頃。

2023年の中秋の名月(十五夜)は9月23日(金)となります。

 

旧暦の8月15日を「十五夜」、その時に見られる月が「中秋の名月」。

十五夜は本来満月を意味する言葉で、年に12〜13回あり、「中秋の名月」とは「秋の真ん中に出る満月」という意味のもの

 

平安時代、中国の「観月の宴」が伝来し、最も月が美しい時期である旧暦の8月には「観月祭」が催されていました。江戸時代には「収穫祭」として広く親しまれる催しとなり、十五夜の旧暦8月15日は中秋の名月として、自然の移ろいと秋の風情を楽しむ催し事として今に至っています。

 

「中秋の名月」を愛でる演出として

月見団子

月見団子は中国の月餅にならったものといわれています。13夜には13個、15夜には15個の団子を三方または半紙にのせてお供えします

これは、欠けても満ちる月が不死の象徴と結びついて、長寿と健康、招福という願いを込めて飾られます

 

秋の七草

月見に飾る花としては秋の七草、萩、桔梗、くず、なでしこ、すすき(おばな)、女郎花(おみなえし)、藤袴、などを飾ります

特にすすきは

月の神様がすすきに乗り移ると考えられており、すすきを稲穂とみたて、子孫繁栄や五穀豊穣を願います

 

名月を愛でるなら、他の七草は揃わなくともすすきはお供えしたいところです

 

「白露」の頃の七十二候

初候(9月8日頃〜9月11日頃) 草露白(そうろ しろし) : 草に降りた露が白く光る

草花の葉に朝露が白く眩く光るころ。本格的な秋の到来です。ちなみに朝露が光ればその日は晴天、朝露は1日の天候を伝えています。

次候(9月12日頃〜9月16日頃 鶺鴒鳴(せきれい なく) : 鶺鴒が鳴き始める

鶺鴒は水辺を好む鳥。森林などで多く見られます。日本ではスズメやハトと同じように身近な小鳥でもあります。そのピッピっという可愛い鳴き声にも秋の到来が感じられます。

末候(9月17日頃〜9月22日頃) 玄鳥去(げんちょう さる) : 燕が南へ帰って行く。

春、民家の軒先で巣を作り、子育てしていた燕も暖かい地域へと移る季節。秋の夕暮れに去る渡り鳥の姿は日本の秋の風物詩のひとつ。


 

「二十四節気」とは

二十四節気は、一年を春・夏・秋・冬の季節に分け、それぞれをさらに6分割した24の期間に名前をつけたものです。現在でも季節の節目を示す言葉として使われています。

二十四節気の名称は、中国で考案された当時のものがほぼそのまま使われています。考案当時の文明の中心であった黄河の中・下流域の気候を反映しており、日本よりも寒冷で大陸的な気候のため、日本の気候とは多少ずれがあります。

太陽黄経が30の倍数であるもの(春分・穀雨など)を(中気)、そうでないもの(清明・立夏など)を(正節、節気)と言い、節気から次の節気の前日までの間を一ヶ月とする月の区切り方を節切り、その月を節月と言います。季語の分類も主として節切りで行われています。

夏至・冬至の二至、春分・秋分の二分を併せて二至二分といい、立春・立夏・立秋・立冬を四立二至二分四立を併せて八節と言います。二十四節気をさらに約5日づつの3つに分けた、七十二候という分類もあります。

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白露の頃の行事

秋の気配を実感する白露の頃、秋の味覚狩りも楽しみのひとつ。

りんご、みかん、ぶどう、梨、栗、サツマイモ、松茸など、目一杯秋の味覚を堪能です。

全国の秋の味覚の狩り場

 

コスモス

今の季節に見頃を迎え、秋でイメージする花にコスモスがあります。

コスモスは英語読み(Cosmos)。漢字で秋の桜と書き、コスモス、アキザクラとも言います。

その開花時期は6月〜11月

コスモスは大きく二つの種類に分かれます。

  • 春に種を蒔き、夏の開花を楽しむ早咲きのもの。   その開花時期は6月〜8月。
  • 夏に種を蒔き、秋に開花する遅咲き(短日性)のもの。その開花時期は9月〜11月。

ちなみに、短日性とは日が短くなると開花する性質を言います。

その名所も日本全国に点在。秋の風情を各地の特色の中で堪能です。

 

長野県 黒姫高原コスモス園

信州の山々と野尻湖を望む壮大な眺望と、足元には一面に咲くコスモスの花々。

高原の爽やかな風を浴び、秋の風情を堪能です。

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奈良県 安倍文殊院

安倍文殊院の見所は様々な種類のコスモスからなるコスモス迷路。境内は様々なコスモスの花に彩られ、古式豊かな秋の風情が楽しめます。

ちなみにコスモス迷路は毎年9月中旬~10月下旬開催。

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大分県 くじゅう花公園

くじゅう花公園は阿蘇くじゅう国立公園にある植物園。くじゅう連山を眺望する阿蘇五岳を背景に、20万平方mの広大な土地に四季折々の花々が堪能できる自然公園です。

9月下旬から10月にかけて 園内には約100万本のコスモスが咲き誇ります。

白露 まとめ

白露の頃、渡り鳥が往き来する季節が始まります。夏の終わりを告げるようにツバメが去り、冬鳥の訪れも間近。

夕暮れの空を見上げれば、先頭の鳥に従う鳥達の群が飛び去る様が見うけられます。

徒然草でも、「秋は夕暮れ、夕日の差して山の端いと近うなりたるに‥‥」

「秋は夕暮れがいい。夕日が落ちて、烏が巣に帰ろうとする様に心惹かれる。雁などが列をつくって飛んでゆく様も趣があってよい。日が沈んで聞こえてくる風の音や虫の音なども、言うまでもなくよい」とあります。

まさに、日本の秋の風情です。

 



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